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彦根工専同窓会26会だより 掲載月:2008/11
報告者:内田 真澄
彦根工専同窓会26会の皆さん
<彦根工専同窓会26会の皆さん>
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 我々彦根工専同窓会26会は、昭和26年に繊維工業科を卒業した卒業生(55名)にて、平成2年より毎年同窓会を開催しております。 平成2年の第1回目の参加は22名でした。
 名簿はありましたが、卒業して時間も経ち、住所不明者も多く、その後、各人が知り合いを通じて数名は判りました。現在、30名足らずで、しかも死亡、病気等で参加者は減り、ついに今回(平成20年5月28日〜29日の同窓会)、10名での開催になりました。
 開催の会場は長浜ロイヤルホテルで、長浜市内観光が目的でしたが、4月16日に関西在住の26会の数人が集まった時に滋賀県立大学の見学が提案され、併せて実施することになりました。
 5月28日、14時にJR彦根駅前集合、バスにて大学に致着、琵琶湖に近く、自然に親しめる広いキャンパズに皆驚いた様でした。湖風会事務局の担当者より充実した図書館に案内され、図書館の責任者から図書の分類や最近は読書のみならず、図書情報センターとして多数の雑誌、ビデオなど教育及び研究活動に必要な情報がコンピューターネットワークで閲覧出来るシステムになっているとのこと等、最近の大学としての図書館の現状がよく分かり勉強になりました。
 その後、工学部田中他喜男先生より約1時間30分にわたり化学実験室、機械工学物理化学実験室等を案内していただき、見学が出来たことは大変良かったと思います。
 戦後の大学、専門学校卒業の人間からみて、今の大学生は自分の目的さえ決めれば、自由に目標に向かって、いくらでも勉強出来る環境が備わっており、うらやましい限りです。
 夜の懇親会、翌日の長浜市内観光等を通じてより一層の親睦を図ることが出来ました。
<回 想>
 昭和5年(1930年)生まれの我々世代の教育は異常でした。 尋常高等小学校に入学、5年生の時に国民学校となり、天皇中心思想、大東亜共栄圏皇国の使命、滅私奉公等、軍国主義教育になりました。
 昭和16年12月の真珠湾攻撃より連戦連勝の時代でした。 昭和18年中学に入学、徹底した軍事教練と学徒動員、何時でも戦争に行けるよう特攻精神と軍神教育、白兵戦、飛行機操縦、落下傘、戦車爆破等の多い教育でした。
 しかし、昭和20年より学徒動員が主力となり本土決戦に備え、軍事教練の毎日でした。 B29の空襲でグラマン戦闘機の機銃掃射、自決するときの方法まで教育をうけました。
 8月15日の終戦が中学3年、アメリカの指導により6、3、3制の採用となり、我々年代は23年旧制中学を卒業、昭和24年新制高校第1回を卒業するのです。変則な卒業の仕方でした。昭和24年は新制大学第1回の入学となり、旧制専門学校、旧制大学の中途採用が認められた時代です。戦争中の軍関係の学校より戻って来た生徒(海兵、陸士、海機、予科連等)上級生の浪人等が多い時期でした。
 私は就職先が決まっていたため、彦根工專2年生に編入、昭和26年に卒業しました。卒業して新制大学に進学しますと、旧制、新制の学校を全部卒業出来たのです。
 思想的に不安定な時期であり、学友と将来に就いて議論し過激な運動に走った友人もいました。修学旅行より教科書が欲しいとのことで、修学旅行は中学高校、専門学校ともありませんでした。
 食糧難と栄養不足、物不足による物々交換、生きて行く事が大変な時代に学生生活をした我々年代の体験は、貴重な体験であり、今後は絶対にあり得ぬ体験と思います。
 戦前、戦中、戦後の学生生活に遭遇した我々年代の両親の苦労を始め、学生生活に関係ある方々に感謝すると共に、戦争で犠牲になった人々に対する感謝を忘れてはなりません。
 昭和19年に戦争に経済は不必要とのことで国立彦根高商を廃止して、国立彦根工専になり1回生は昭和22年3月の卒業、2回生は昭和23年3月の卒業でした。 昭和22年に彦根工専の存続問題が起こり、文部省よりの廃止案に対し、滋賀県の紡績や化学会社関連が反対、県に移管したらとの案で県立彦根工専が昭和23年に設立されました。 
昭和30年頃の滋賀県立短期大学工業部の学舎(右下、彦根口駅)
<昭和30年頃の工業部の学舎>
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 その後、昭和25年4月に県立彦根工専が母体になり滋賀県立短期大学が開校、幾多の変革がありましたが、今日の滋賀県立大学へと発展してきました。まだまだ、これからも学校教育の変革があると思います。
 人生に定年はありません。死を迎えるその時まで勉強であり、人生の現役でありたいと思っています。
<編集後記>
 報告の内田眞澄氏は現在、藤井寺市老人クラブ連合会の藤井寺南校区長や会社の監査役もされるなど、現役で頑張っておられます。(編集担当者記)